※本記事は動画の内容を、読みやすいよう記事用に編集・要約したものです。
目次
1. 新規営業が「うまくいかない」理由
BtoBの新規営業は、多くの企業が思うように成果を出せていない領域です。弊社がこれまで数多くの経営者・営業責任者と対話してきた中でも、新規開拓が十分にうまくいっているという企業は決して多くありませんでした。よく挙がるのは、次のような課題です。
テレアポの受付突破率は10%ほどにとどまり、裏を返せば9割の時間と労力が無駄になっている。アポが取れても担当者が稟議を進めてくれず、受注までのリードタイムが伸びる。大手・決裁者開拓サービスは費用が高く、顧問やマッチングサービスもアポ単価が10〜20万円に達してしまう——。従来型アウトバウンドには、こうした構造的な限界があります。
その限界を補う手段として注目されるのが LinkedIn Sales Navigator です。受付や担当者を介さず決裁者へダイレクトにアプローチでき、SNSならではの高い開封率からアポ率も向上します。文面の要点を押さえて運用すれば、通常のアウトバウンドと比べてアポ率が2〜3倍、条件が揃えば5〜6倍に達することもあります。
2. LinkedInとは ― 営業に最も適したSNS
LinkedInはFacebookに近いビジネス特化型のSNSです。ユーザー数は日本で約400万人、世界では約10億人にのぼり、アメリカでは名刺代わりに使われるのが当たり前になっています。日本でも普及は加速しており、100万から200万ユーザーまでは7年を要した一方、200万から400万まではわずか4年で到達しました。
普及を後押ししているのが大企業の利用です。富士通が全社規模で導入し、キリン・キーエンス・日産などが採用文脈で活用、Zoomは広告を出稿するなど、各業界のリーディングカンパニーが利用を広げています。利用者の大半はビジネスパーソンで、決裁者の比率も高く、営業との相性でこれほど優れたプラットフォームは他に見当たりません。
「登録しているが使っていない人が多いのでは」という疑問もよく聞かれますが、実態は異なります。週1回ほどログインする層がボリュームゾーンで、プッシュ通知やメール通知をきっかけに開くユーザーが多く、ログイン時にメッセージが届いていれば大半が目を通します。魅力的な文面であれば反応も得られ、弊社はLinkedInを活用したアウトバウンドでアポ率20%という水準を実現しています。
3. Sales Navigatorとは ― 機能と料金
LinkedIn最大の特長は、主要SNSの中で唯一、営業に特化した機能を公式に備えている点にあります。それが Sales Navigator です。端的に言えばLinkedInが有償提供するツールで、多様な条件でのリストアップと、その管理を可能にします。料金は大きく3つのプランに分かれます。
| プラン | 概要 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 個人プラン | 個人でのリストアップ・アプローチ | 月1万円ほど |
| チームプラン | チームでリスト・アプローチを管理 | 月3万円ほど |
| 上位プラン | Salesforce・HubSpotなどとCRM連携 | 要見積もり |
留意点として、Sales Navigatorの運営チームは本社のあるアメリカとシンガポールに限られ、問い合わせ先が海外になります。日本語対応の開発が進んでおらずUIは英語のままで、利便性の高さの一方、日本での知名度が低い一因にもなっています。弊社はLinkedIn Japanとの連携や海外情報の翻訳、自社での徹底的な運用を通じてキャッチアップを重ねており、国内では最も知見を蓄積している自負があります。
4. Sales Navigatorでできること
主要機能のひとつが、リストアップを担う「Lead Filters(リードフィルター)」です。従業員数・部署・役職・業界などで対象を絞り込め、業界カテゴリは400近くにのぼるほど細分化されています。たとえば従業員1000人以上の大企業の部長だけを抽出するといった操作も可能で、普段は接点を持ちにくい層を一覧化できます。対象は大企業に限らず、アカウント数の多いベンチャー・スタートアップや中小企業まで、あらゆるセグメントに広がります。
絞り込みの軸は多彩です。直近に自分のプロフィールを閲覧したユーザー(Buyer Intent)に限定すれば、すでに認知のある相手にアプローチでき反応率が高まります。「Connections of」に知人を指定すれば、その人脈経由でつながり得る層を抽出できます。抽出したリストは一元管理でき、「直近30日以内の投稿者」「90日以内の転職者」といった条件でも絞り込めます。
LinkedInは投稿へのリアクションが付きにくい反面、事前に数回コメントやいいねを重ねておくと記憶に残りやすく、その状態でのアプローチはアポ率向上につながります。転職直後はフラットな視点で組織課題に気づきやすく、とりわけ決裁者は課題解決を担う立場ゆえ情報収集に積極的でアポを獲得しやすい傾向があります。あらかじめターゲットリストを用意し、転職のタイミングで祝意を添えて連絡すると効果的です。なお、ここで紹介したのは機能のごく一部にすぎません。
5. 実践①:成果を左右する「初期設計」
LinkedIn営業は「初期設計 → 実行アプローチ → 運用改善」という3つのステップで進みます。最初に押さえるべき注意点は、いきなりDM送信から始めないことです。成果は初期設計の段階でほぼ決まるため、まずは設計に注力します。
プロフィール
営業文を受け取った相手の多くは「結局この人は何者か」を確かめようとプロフィールを訪れます。そこで「有益な話が聞けそう」「信頼できそう」「話してみたい」と感じてもらえる作り込みが欠かせません。アイコン・ヘッダー・短い自己紹介・経歴を漏れなく整えることが基本です。弊社代表アカウントがアポ率20%超を維持できている背景にも、プロフィールの寄与は確実にあります。LinkedInはファーストビュー以外にも多くの情報を載せられるため、長文の自己紹介、サービスのLP、固定する注目コンテンツ、職歴・学歴・資格・出版物・受賞歴まで可能な限り充実させます。特に有効なのが過去のプロジェクト実績で、ペルソナに近い事例やネームバリューのある企業の事例を掲載すると信頼度が大きく高まります。
ターゲット検討・リストアップ
ターゲットを業種・業界や従業員数だけで決める例は多いものの、それでは成果を最大化できません。重要なのは、ニーズの顕在度が高いリストを作ることです。あるシステム開発会社では、業界と従業員数のみのリストでは成果が伸び悩んでいましたが、採用媒体にエンジニア求人を出す企業や資金調達済みスタートアップへとリストを切り替えたところ、初月からアポ数が5倍に増え、受注率も改善しました。求人を出す企業は人材不足で予算を投じる意向があり、資金調達直後のスタートアップは開発を急ぎたい一方で人手が足りない——いずれもタイミング的にアポ率・受注率が高まりやすい層です。弊社では展示会出展企業、セミナー実施企業、CSR注力企業、コールセンター保有企業など、多角的な観点から質の高いリストを構築しています。
文面フォーマット
文面はテンプレートとパーソナライズの2種類に大別されます。いずれでも成果は出ますが、工数が許す限りパーソナライズが推奨です。両者を検証した結果、案件による差はあるものの、アポ率はおよそ2〜5倍変動します。特に大企業狙いやリスト数が限られる場合は一件の重みが大きく、パーソナライズが有効です。
ただし、AIによるパーソナライズには注意が必要です。弊社は全社的にAIを活用していますが、営業メッセージ作成への応用は想像以上に難しいのが実情です。アポ率を高めるにはIRや中期計画、ホームページ、プレスリリースといった公開情報に加え、部署・役職・SNSなどの担当者情報、事業の強み・課題まで踏まえる必要があり、AI任せでは参照点や解釈がずれがちです。パーソナライズを売りにするツールでも、具体化できるのは上場企業に限られ、非上場では業界単位の浅い内容にとどまったり、参照情報が古く実態とずれるケースが少なくありません。
文面づくりの要点は3つです。①長さ——情報を詰め込みすぎると読まれません。最も伝えたいこと、最も刺さることに絞り込みます。②コンバージョンポイント——日程調整ではなく「お役立ち資料のダウンロード」などに設定すると反応率が大きく改善します。資料ダウンロードから即フォローへ切り替え、相談数が2.5倍になった例もあります。③最も大事なことを冒頭に——人は最初の一文で読み進めるかを瞬時に判断します。出し惜しみせず、核心や意外性を先頭に置きます(XやLINEマーケティングで一行目が伸びを左右するのと同じ原理です)。
6. 実践②:実行アプローチと運用改善
初期設計を終えたら実行に移ります。基本の流れは「つながり申請 → 承認された相手へメッセージ送信」です。申請数には上限があるため、上限まで申請したうえで、承認された相手にテンプレートまたはパーソナライズのメッセージを送り、返信や日程調整を進めます。
Sales Navigatorでは、つながりのない相手にも送れる「InMail」を月50件利用できます。強力な機能ですが送信上限が厳しく、通常アプローチ経由のアポのほうが多くなる傾向があるため、補助的な位置づけで活用します。
リマインドも効果的です。「一度反応のなかった相手に再送しても無意味では」と思われがちですが、過去に50人へリマインドした際は10件の返信と2件のアポにつながりました。「興味はあるが今は後回し」という相手や、時間の経過で状況が変わる相手も多く、漏れなく実施する価値があります。
加えて、日次・週次でのPDCAが欠かせません。LinkedIn営業の主要指標は「承認率」と「アポ率」の2つで、主な変数はプロフィール・リスト・文面です。このいずれかにボトルネックが潜んでいることが多く、ひとつの変数を変えるだけで成果が一変することもあります。すぐに結果が出なくても、改善を続けることが重要です。
7. つまずきやすい3つの落とし穴
ここまでを徹底すれば成果は十分に見込めますが、いくつかの落とし穴も存在します。弊社はこれまで50人以上のSales Navigator利用者と対話してきましたが、使いこなして成果を上げていたのは1〜2人ほどで、9割以上が苦戦していました。失敗には再現性があるため、典型的なつまずきを整理します。
① キャッチアップの難しさ——海外製でUIが英語、日本語の情報も乏しく、習得に時間を要します。翻訳機能では訳文が不自然になり動作も重くなりがちで、この段階で体感的に半数が離脱します。
② 運用工数の重さ——上限分のつながり申請、承認者へのパーソナライズ送信、返信・日程調整、こまめなPDCAまで含めると、月80時間前後を要します。片手間では十分な行動量と質を保てません。
③ ノウハウ不足による品質低下——プロフィールや文面を最後までやり切り、最適化するには相応の知見と経験が必要です。初めての場合、試行錯誤の過程で挫折することもあります。
これらを踏まえ、弊社では戦略の検討から実行・PDCAまで一括で代行しています。月数十万円程度から発注でき、「いつでも解約できる営業担当を一人雇う」感覚で利用できる点も特長です。
8. 成功事例
システム開発(上場企業子会社)の事例——高い目標に対し、アウトバウンドのノウハウとリソースが不足していました。システム開発支援は無形・高単価でタイミングも重要なため難易度が高く、適したチャネルがない点が課題でした。LinkedIn営業に着目し、プロフィールの作り込み・リストの精緻化・文面最適化・PDCAを徹底した結果、初月で7アポ・1受注を獲得。その後も月5〜10件のアポを安定的に獲得しています。
障害者雇用支援サービスの事例——もとは老人ホーム向けに食品を卸す、長い歴史と実績を持つ企業です。新規事業のターゲットが大手企業の総務・サステナビリティ部署であったため、接点の創出に苦労されていました。LinkedIn上に対象が多数存在することを確認のうえ提案し、開始2週間で7件のアポを獲得、誰もが知る超大手企業の案件化にもつながり、量・質・スピードの各面で高い評価をいただきました。
以上がLinkedIn営業の全体像です。より深く知りたい方、LinkedIn営業に関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。


