日々、様々な企業様のBtoB新規開拓営業をご支援したり、自社の営業・マーケティング施策を実行する中で考えたことを、つらつらと書いていこうと思います。記念すべき1通目。お付き合いいただけたら嬉しいです。
僕が営業を始めたばかりの頃の話です。
商談前夜、資料を何度も読み返しては「あれも言わなきゃ、これも伝えなきゃ」と、渡したい情報を頭の中に積み上げていました。当時の僕は、たくさん語れることが誠実さだと思っていたんです。
迎えた当日。意気込んだ僕は、最初の30分でほぼ全部を喋り切りました。機能も、強みも、事例も。言い切ったときには達成感すらありました。
でも、相手の顔を見て凍りつきます。表情が、どんどん薄くなっていたんです。
頷いてはくれる。けれど、目が「情報を浴びているだけ」の顔になっていく。あれは、刺さっていない顔でした。
帰り道、ずっと引っかかっていました。準備はしたはず。言いたいことは全部言った。なのに、なぜ温度が上がらなかったのか。
次の商談ではやり方を変えてみました。最初に渡す情報は”概要”だけで、しかもたった3分。あとはひたすらヒアリングを通じて相手の話を聞く。そして、相手が「それ、どうやるんですか?」「それ、どういうことですか?」と前のめりになった瞬間にだけ、「実はそこ、こうなってまして〜」と差し込んでいく。
すると、同じ情報なのに、相手の反応がまるで違ったんです。
このとき新人の僕がようやく腹落ちしたのは、情報の価値は”中身”より”渡すタイミング”で決まる、ということでした。
先に並べた情報は、相手にとって「聞かされたもの」。でも、相手が”気になった”瞬間に出てくる情報は、相手が「自分で見つけたもの」に近い。人は、自分で気づいたことほど価値を感じます。同じ一言でも、刺さり方が何倍も変わる。
オンライン商談だと、これがさらに難しい。画面越しは表情が読みにくいぶん、不安になって「全部説明しておこう」と前のめりになりがちです。今思えば、新人の頃の僕の喋りすぎは、自信のなさの裏返しでもありました。
だから今は、商談を3つの層で組み立てています。
- 最初に渡すもの:相手が全体像を掴める最小限の概要(3分で十分)
- 途中で差し込むもの:ヒアリングで相手が反応した論点にだけ出す情報
- 最後まで残すもの:ここぞの一押し、決め手になるカード
後出しが過ぎると「もっと早く言ってよ」と冷めるし、出し惜しみが透けると興味は続かない。「何を最初に渡し、何を残すか」。この見極めこそ、営業の腕の見せどころだと、新人の頃の失敗を思い出すたびに感じます。
後出しジャンケンは、勝つために出すんじゃない。相手が”出してほしくなった瞬間”に出す。あの日の商談から、僕がずっと大事にしている感覚です。